素人菜園帳(44)

久しぶりに実家に帰った。
東京の西のはずれまで1時間半はかからない。

手土産は素人菜園で収穫した紅くるり大根や茎レタス、
加工した山くらげ、パッションフルーツなどだ。

到着するなり、待ってましたとばかり、温州ミカンの高所の収穫、
キンカンの鳥対策不織布がけ、レンジフードのフィルター替えなど、
次々に作業がふってきた。

「あなた便利よね~」

たしかにお袋が椅子にのってあぶなっかしく作業するより
こちらがひょいと手を伸ばすほうが早い。
だがもうすこし別の評価の仕方がある気もする。

今度は最近盛り上がっている菜園エリアを見ろという。

駐車スペースにプランターが並べられ、1坪ほどの地植えエリアにも
きれいにトンネルがかけられている。
ここ半年ほど、種や苗、菜園指南本や肥料、防虫ネットなどを
代わりにアマゾンで注文して届けてきた。

―故郷の親から自家製の野菜が届くとか、作り方を教わるとかは
よく聞くけど、うちは完全に逆だな。

そんな思いが浮かんでいるのを気にもせず、自慢げに続けた。

「どう?きちんとネットかけられているでしょ。プランターには
明からもらった「ハクサイ」の種を蒔いたんだけど
なかなか結球しそうにないわ」

見ると、同じ葉っぱがあちこちに植えられている。
結球するはずがない。全部「紅くるり大根」だ。
そういえばはくさいと大根、両方種を届けたのだった。

「あらいやだ。これ全部大根なの?
ほんと?いつ間違えたのかしら」

―いつってそりゃ、種袋を手にとったときでしょ。
主婦歴50年なんだから、葉を見て気づけよな~。
2種類同時に送ったのがまずかったかな。

「あとここに今から植えられるものないかしら」

地植えエリアの半分が何も植わっていない。
以前はこんな更地は手つかずのままだったが、
対抗心に火がついたのかもしれない。嬉しい傾向だ。

少しタイミングが遅いが、防寒すればまだ間に合う。
母のPCから玉ねぎの苗50本とニンニクの種球500g、
穴があいた玉ねぎ用のマルチと肥料をすぐ注文した。

数日後、ラインで動画が送られてきた。

「どう、うまく張れたでしょう」

どや顔がうかんだ。
はじめて畝をたてマルチをつかったのだ。
動画をとって送りたくなる気持ちもわかる。

マルチにしわがよっているのが気になったが
ひとりでよく頑張ったと思う。すごいね、と返す。

「この前もらったファッションフルーツも甘かったわ」

まただ。
カタカナが毎回微妙に、わざとと思いたくなるほどずれる。
今回もお隣さんにおすそ分けするとき、その表現で発信するのは
息子として恥ずかしい。間違えをやんわり指摘した。

すると珍しく即レスがあった。

「打ち間違いよ」

コーヒーを吹き出しそうになった。
タイプミスのはずがない。

それ「言い間違い」じゃない?
それとも「聞き間違い」?

再度つっこみたくなるのをなんとか我慢して
パソコンを閉じた。

記:根本

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