素人菜園帳(8)

「セレージャ」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
最初どこかの国のサッカーチームかと思った。

「ブラジルのいちご」と言われる熱帯果樹である。
さくらんぼに似た果実は、皮が薄いためほとんど市場に出回らず、
食べるには自分で育てるしかない、と調べてわかった。

熱帯ものとはいえ真冬だけ屋内にいれれば東京でも育てられる。
とすると「ポチる」しかない。
Amazonの登場だ。

こうして毎週「つい」ポチッた結果、3F書斎前のテラスには
1鉢、また1鉢とどんどん仲間が増えていった。

フルーツキャビアといわれる「フィンガ―ライム」。

オーストラリア産の果物で、日本で育てる人はまだ少数のようだ。
その名のとおり、指ほどの大きさの実から、黄色やピンク、
緑や赤など、カクテルにいれたくなる見事な発色のプチプチした実が
こぼれ落ちる。見た目のインパクトは最強で、高価な苗ながら
ポチる衝動を抑えられなかった。
(試しに画像検索してみてほしい)

味が苺にそっくりだという「イエローストロベリーグァバ」。

グアバといえばジュースしか記憶にない。
苺味がすると言われると育てないわけにはいかない。

日本では冷凍を解凍したものしか食べたことがなく、
生の果実にはめったにお目にかかれない「ライチ」。

花が時計盤にそっくりで時計草の異名をもつ「パッションフルーツ」。

「ラズベリー」、「ブラックベリー」、そして話の種にとついに
「バニラ」まで登場した。

つれが呆れたようにぽつり。

―毎週のようにAmazonで買っちゃってもう…
テラスがアマゾンになっちゃうじゃないの。

返す言葉が見当たらないのが、これほどぴったりな
瞬間も珍しかった。

記:根本

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