あえて詰めない
相手の石にプレッシャーをかける「詰め」。
同時に自陣も広げられるため、好んで打つ方も多いと思います。
詰めというと、一間の距離まで近づくイメージがありますが、必ずしも近づくことだけがプレッシャーではありません。
あえて詰めない方が、結果的にバランス良いこともあるのです。
具体例として、オンライン囲碁コミュニティ「かけつぎ」で打たれた1級の方と井桁インストラクターの3子局を紹介します。
(テーマ図1)
黒番です。
白21とワリウチし、下辺での安定を目指しています。黒はどのような対応が考えられるでしょうか。
(実戦続き)
実戦で黒は左側から一間に詰めました。白は右に二間にヒラキ、黒が右下を補強しました。よく見られるような進行です。
(実戦続き)
白は堅実にもう一手かけて補強しました。
この時黒は先手で他の大場(右上の白1子を攻めるなど)に回ればよかったのですが、左下隅の味を気にして三々に守りました。
もちろん部分的には手堅い一手なのですが、まだまだ広いエリアがたくさんありますから、不急の補強になってしまいました。
隅を気にするならば、実戦22手目で別の候補がありました。
(参考図1)
それは黒1のコスミ。これでも白にプレッシャーになっているのがポイントです。
白は二間ビラキを打ちたい局面なので、コスミでも左側にヒラけない位置関係になります。
(参考図2)
実戦と同じ進行になった場合、コスんでおけば隅の味を気にせずに済みます。
これなら自信をもって大場に回れたでしょう。
詰めはたしかに強くプレッシャーをかけられますが、位置関係によってはコスミでも十分なこともあります。
大場がまだ残っているような時は、隅の味や手番を考慮して、どちらが良いかを判断しましょう。
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