置碁の白番の打ち方(2)形を決めないってどういうこと?

形を決めないってどういうこと?

前回の記事では、置碁では積極的に敵陣を減らすことについて書きました。
「置碁の白番の打ち方(1)敵陣を積極的に減らそう」

置碁の白番にとって次にポイントになるのが、相手の形を不要に決めないことです。
その時に自分が得できる展開があったとしても、あえてそこを打たずに残しておくことで、もっと得できる可能性が生まれます。

「形を決める(決めない)」という表現を見たことはあるものの、その感覚を掴めてない方も多いことでしょう。
テーマ図をもとに具体的な考え方を確認しましょう。

こちらは3級と初段の方の3子局です。
オンライン囲碁コミュニティ「かけつぎ」で打たれたもの)

(実戦図:37手目まで)

右下でのやりとりに注目します。白25から三々に入りました。
通常の進行のように見えますが、白33から黒36までのやりとりは不要に形を決めてしまっています。

36のカケツギまで打てれば、黒としてはもう心配しなくて済むので満足でしょう。(36の守りは固く打ちすぎていますがそれは別の話)
対して白としてはこの後で周辺に打っても、黒に何も響かせられなくなってしまいました。

置碁は序盤ではどうしても黒が有利なので、白は中盤以降に逆転できるかがポイントになります。そのためこういう状況にはできるだけしたくありません。

(参考図1:33手目別案)

黒を強くさせないようにしながら右下白を補強する手として、下辺の切りがありました。
相手を弱くできますし、この後で下辺で地がつく可能性もあります。

(参考図2:図1の後)

白に切られた後はこの進行が一例です。白は切った石を補強しながら白5くらいまでが予想されるところです。

この時に×のような中央側と、△のような右辺側の2つの地点が目に付くのがポイントです。
次の黒はどちらを選ぶのか迷うかもしれません。もし△側に守ってくれたら、白は×側に打って右辺白と連携しやすくなります。

右辺が強くなれば、上辺や右上隅へも打ち込みやすくなるので、芋づるのように得できる可能性が増えていきます。

(参考図3)

もし実戦のカケツギまで決めた後で切るとどうなるか。

同手順で進んだ時に、黒は△にすでに打ったと言えるので、迷うことなく×側の黒6に打てます。右辺白とも分断されるなど、白が強く反撃されてしまうでしょう。
形を決めてしまったことで、図2のような得するチャンスがなくなったわけです。

形を決めないとは、このようなことを指します。先手だからと打ったら(実戦の33〜36手目)、そこでの得よりも相手を補強した損の方が大きかったということがあります。
置碁で白を持ったとき、なぜか黒に弱点が見つからないという経験がよくある方は、形を決めないことを意識すると良いでしょう。

(参考図4:黒36の別候補)

ちなみに黒36では、カケツギだと固く守りすぎている印象を受けます。黒の壁は強いのでカケツギだと凝り形です。
同じエリアに打つなら一間トビなどの方が効率が良さそうです。または左下など他の大場に先着しても良かったです。

*こちらの対局は、オンライン囲碁コミュニティ「かけつぎ」で打たれた一局でした。

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