若いときは何かをしてもらうのが嬉しくて、
歳をとると何かをしてあげるのが嬉しくなる。
どこかで聞いた。
素人菜園をつくる喜びは、もちろん獲りたてを自分で食べることだが、
誰かに食べてもらうのも、それと同じぐらい楽しくなってきた。
もうすぐ50歳。歳をとったということだろう。
先週久しぶりにつれが実家に帰り両親と会うというので、
獲りたての野菜をもっていってもらった。
茎ブロッコリー、ベビーキャロット、シシトウ、赤玉葱
にトゲいっぱいの花つききゅうり。ニンニクやミニトマト
も獲れたがそれらは次回のお楽しみにした。
―農園主は最近また腕をあげたな。
お父さんがつぶやいたそうだ。
―これちっとも辛くない。あっ、だんだん辛くなってきた…
お母さんは赤玉葱のサラダが美味しかったという。
スーパーでも見たことのない小さな玉ねぎを前に、
あらかわいいわね、と笑顔になってくれたらいい。
朝の味噌汁に丸ごといれて食べてほしい。
翌日、お父さんからショートメールがはいった。
「とりたて野菜の御礼」
お母さんが描いた絵が添付されていた。
手作りに手作りで返す。シニアらしい素敵なおかえしだ。
こころがぽっと温かくなった。
先月は、弟家族にビーツやルッコラ、赤茎ほうれん草を送った。
―兄貴のルッコラ、うちの子たちに大人気で
「明おじさんの野菜のほうが美味しい」って取りあって食べてたよ。
写真を見ると、9歳と7歳の姪っ子が元気いっぱい食べている。
鍋にはいっていたのはほうれん草のほうだったが、
喜んでもらえたなら何でもいい。
弟からは「バカ一代」という讃岐うどんが届いた。
さっそく、素人菜園でふだんあまり陽の目をみない
「九条ネギ」を、ここぞとばかりたっぷり収穫した。
あつあつ、しこしこのネギうどんをすする。
文字通りバカにうまい。
―こういうの、エビで鯛を釣る、っていうんだっけ。
何かをしてもらうのも、まだ十分嬉しいことに気がついた。
記:根本
*いまの囲碁教室で満足できない貴方へ
究極の個人レッスンを目指す『上達の約束』
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。