あまい!うまい!
獲ったばかりのトウモロコシを
生のままかぶりついた。
梅雨まっさかりのなか、エアポケットのように
半日曇り空となった先週末、知り合いに誘われて
埼玉は浦和美園の農園で収穫体験を楽しんだ。
―家庭菜園2年目ということは、これからだんだん
同じ失敗をしなくなりますよ。
アドバイスをもらってはっとする。
その人はサラリーマンを続けながら毎朝3時半に起きて農作業、
週末は世田谷の朝市などで野菜を販売して7年目という。
―そうか。いまは失敗の芽を一つずつつぶしている段階なんだな。
すこし視界が開けた気がした。
プロが育てた農地にはじめて足をふみいれる。
土の匂いが濃い。
―うわぁ。色々植えてあるなぁ。
心の中で歓声があがる。
トマト、人参、きゅうり、ビーツ、モロヘイヤ…
眼が勝手にうちの野菜たちと比べはじめた。
大地の恵みを一身にうけてどれも元気いっぱいだ。
「野菜万歳!」と叫びたい衝動にかられた。
香りがいい葉っぱと特徴のある太い株元はフェンネルだ。
初対面なのでこれまた心の中で
―はじめまして。
さっそく一本収穫してパシャリ。
葉っぱはその晩、自家製の赤玉葱とベーコンのスープに。
茎は鮭のバター焼きに添えて。
株元は蛍烏賊とラッキョウとあわせてカレー風味に。
根っこはからっと揚げて塩味でつまみに。
来春あらたに挑戦する野菜がひとつ決まった。
緑だけでなく黄色や紫もあるつるなしインゲン、
ビーツやカラー人参、白ナスに枝豆、トウモロコシと
次々に収穫させてもらった。
―収穫も食べるのも一瞬だけど、ここまで育てるのは
大変だっただろうなぁ。
土づくり、種まき、定植にはじまり、間引き、追肥、
防虫、防風、防雨、防鳥…。
1/100でもその苦労がわかるのは、自分にとって貴重な
発見で大事な一歩だ。芋ほりやいちご狩りなど、いままでの
収穫体験は、その時間とお土産を楽しむ視点しかなかった。
―枝豆は、枝がついたまま茹でて、枝がついたまま
アイスキャンデーのように食べるのが粋だったようです。
江戸時代は。
最後にそんな話を頂いたのでさっそく家に帰ってやってみた。
枝についたままの枝豆にかぶりつく。初体験だ。
手で豆を押し出すのではなく、さやごとかぶりついたら
枝を口からひきぬき、豆だけを口に残す。
野性的というか動物的というか。
手もよごれずスピーディーに食せる。
悪くない。
一度にがつんと食べるので、余計にうまい。
江戸庶民の粋に思いをはせる。
あとで知った。
これを「江戸豆」というらしい。
記:根本
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