笑顔の風景(10)

僕はいつも肝心な時に体を壊すようだ。
つれにはすこぶる評判が悪い。

数年前、真冬のアラスカ旅行当日に発熱して
町医者にかけこんだ。

「今日の夕方からアラスカに行くんです。
マイナス30℃だそうです。何とかしてもらえませんか」

医者は聞き間違えたのかわざとか
「どこに行くって。荒川?」

と笑って薬を処方してくれた。

今年のGW、両親の金婚祝いに山梨は笛吹川温泉に
車でつれていった。その前々日、自宅で開いた囲碁会の際、
4寸盤を押入れからひっぱり出すときに腰をやってしまった。
いわゆるギックリだ。

初めての針治療のおかげで何とか旅行は出来たものの、
両親より僕のほうが歩くのが難儀な状態で、
祝うどころか逆に心配をかけた。。

そして先週、木曽路を旅する数日前にまた腰をやってしまった。
テラスでプランターの土を運んでいるときだった。

旅の最中、荷物のあげおろしや立ち座りの際は常に
気を使わせることになった。

「これじゃ旅じゃなくて介護だわ」

嘆くつれに返す言葉もない。
こちらは車から降りるだけで2分はかかる。
靴下がひとりで履けない。

最終日、秋晴れに恵まれたので千畳敷カールを
見に行って帰りのバスでのことだった。

「皆様、左手にいまニホンカモシカがいます」

とつぜん車内アナウンスがはいった。

「なにっ!カモシカ?」

僕らはちょうどバスの降り口横の席だった。
瞬時につれは窓に貼りつき、僕はあわててスマホを
手に席をおりて中腰になり、降り口の窓に近づいて
外を見た。

カモシカがゆっくり草を食べていた。
僕は慣れない動画撮影にしばし夢中になった。

30秒ほど停まったあとバスはゆっくり動き出した。

「いやーカモシカいたね~」

驚いた顔で席に戻ると、笑いをこらえながら
疑惑の目をこちらにむけている人がいた。

「いまさっと立ち上がって中腰で撮影して、
さっと座ったわよね。カモシカより面白いわ」

またもや返す言葉がない。
こちらも笑うしかなかった。

記:根本

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