石を強くする2つの考え方
自分の石が弱い時、みなさんはどう考えて対応していますか。
弱い石とは陣地の根拠をもっていなかったり、安定するまでに時間がかかりそうな石のことです。
こういう石を抱えてしまうと、一局の主導権を相手に握られてしまいます。
自分の弱い石を強くする際、2つの考え方があります。
1つは単純に守りの手を打って補強するというもの。
ヒラキを打って根拠を得たり、眼形を確保して生きやすい状態にすることが挙げられます。
もう1つは相手を弱くすることで、自分の石を相対的に強くするというものです。
相手の石をそれまでよりも弱い状態にすると、周辺の自分の石は強くなったと評価できるのです。
2つ目の考え方の具体例として、「かけつぎ」で打たれた2級と初段の方の2子局を見ていきます。
(実戦図:白27手目まで)
左下でのやりとりの後、黒22と右上にコスミツケました。白の根拠を奪う良い一手です。
白23とノビて補強、黒は24からハネツギを打って右上隅を固め、白27とヒラキを打って右上のやりとりが終わりました。
ここでの評価は白が少しポイント優勢といえるでしょう。コスミツケで一度は根拠を奪われたところから、27と形よく成形できたためです。
黒24ではもう少し積極的に攻めたかった。
実戦は三々を気にして守られたのでしょうが、これは守りの色が濃い選択。
それよりも相手を弱くしながら、自分を相対的に強くできる場面でした。
(参考図1:黒24手目別案)
ここでは黒1とハサミたい場面でした。
コスミツケで右上方面の根拠を奪えたので、右辺側からも根拠を奪う対応です。
(参考図2:ハサミの後の進行)
ハサまれた白は動き出しますが、黒はやりとりを通じて上辺や右辺の陣地を広げられます。
(参考図3:ハサミの後の進行)
白4でハサミ返されても、弱い石から対応していけば心配いりません。
黒は右辺のグループがまだ安定していませんが、それ以上に白は弱い立場です。
分断されている白は、右上か右下のどちらを先に補強するかを選ぶことになりますが、黒は補強しなかった側を攻めれば十分です。
(参考図4:白が三々に入ってきた図)
白が三々に入ってきたら分断します。
図は一例ですが、白が隅で生きたとしても地は小さいです。
その間に黒は壁を築けたので、右辺の白2子はとても弱い石になってしまいました。
黒9の一間トビなどで攻めながら上辺や右下方面を拡大できて満足です。
右上の戦いで先手を取れたら、左下の△に黒からハネる手が好点になります。
ここに先着できれば、碁盤の右下で大きな黒模様が期待できるでしょう。
力関係は常に変化している
石の力関係は、相手とのやりとりを通じて常に変化しています。
さっきまで強かった石が少しずつ弱くなり、いつの間にか攻められる石になることも少なくありません。
自分が弱いからといって、つい守りだけ考えてしまう人は「相手の石を弱くできないか」という視点からも考えてみましょう。
記:井桁
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