詩をそれほど親しんできたわけでもない身でもこれは覚えていた。
小諸なる古城のほとり
雲白く遊子悲しむ
3月2日木曜日。東京では20℃の声が聞こえたというのに、
懐古園では時折日差しもありながら小雪も舞っていた。
懐古園の奥にある展望台からの眺めは、おそらく島崎藤村が
ここであの「千曲川旅情の歌」を詠んだと思わせる力があった。
別所温泉で2泊したあと、初めて小諸にきた。藤村ゆかりの地
ということは知っていた。広大な小諸城の跡地である懐古園には
シーズンオフの寒い平日とあって人影がほとんどなかった。
園内散策で1時間、藤村記念館でたっぷり1時間、
今年一番の贅沢な2時間となった。
藤村にとってここ小諸での6年間は、教員をしながら、
詩人から小説家に転身するターニングポイントとなったという。
藤村は自分のことを遊子(旅人)と詠んだ。
同じく旅人として訪れた僕にとっても、この小さな行き当たりが
ひょっとして何か大きな意味を持つかもしれない。
ふとそんな思いがよぎった。
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