随人観美。
普段それほど意識しているわけではないが、
好きな言葉は?と聞かれたらまずこれが浮かぶ。
その人だけがもっている美を観ろ、
という禅の言葉だそうだが、どこで知ったのか、
だれから教わったのかは覚えていない。
どんな人にもいいところがあるのだから、
というニュアンスが込められている。
ひさしぶりに思い出したのは、先日初収穫した
カリフラワーを食べたときだった。
カリフラワー。
声にだすと、あぁ、これは花(花蕾)を食べるんだ、と気づく。
こんなにわかりやすく食べる部分を説明する野菜もない。
子供の頃から食べているはずだが、特に好きでも
嫌いでもない野菜で、その存在は僕の中では
ときどき出てきたら思い出す程度だった。
親戚のブロッコリーのほうが馴染みがあるぶん、
影が薄くなってしまったのかもしれない。
猛暑がおさまった9月上旬、プランター3つに
6株の苗を植えた。
定植して2ヶ月すぎるまで、この野菜はどこを食べるのか、
というぐらい、実がなる兆しがなかった。
秋深まるある日、ようやく1円玉ぐらいの花蕾が出来たと
気づいてから少しずつ、3日で1cmぐらいのスピードで
大きくなった。水やりしながら毎日観察するのは
思いのほか楽しかった。
今回育てたのは「美星」というミニカリフラワーで
手のひらサイズ、直径10cmほどで収穫した。
薄い綺麗なオレンジ色が食欲を静かに刺激する。
生食に向くということで、緻密な花蕾を細かく
わけてサラダに混ぜてみた。
―そうか。これがカリフラワーなんだ…。
ほんのり優しい甘さとしっかりした食感が
サラダの中で控えめに主張する。
生で食べるのもあまり記憶にないが、それよりなにより、
しっかり味わうことも今までなかった。
自分で育てなかったら、僕の中で奴はいつまでも
「普通の野菜」のままだっただろう。
随菜観美。
どんな野菜にも素敵なところがある。
気づかせてくれた素人菜園にまたひとつ、感謝だ。
記:根本
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