だれがつけたか知らないが、ネーミング大賞の候補にはいるだろう。
時計草だ。
前のマンションでも3年栽培していたが、なぜか一度も咲かなかった。
冬でも葉の緑が綺麗なので玄関前に「グリーン」として置いていた。
引越しして昨春から再度挑戦した。
はじめて花が咲いたのを見つけた朝、思わず声をあげた。
―ほんとに時計だ!
あまり見たことのない風貌の花だ。
可憐でひっそりというより、なにかこちらにむかって強く訴えてくる。
―秒針と時針とえっと…もう1本、あれっ針が3本あるけど
まぁいっか。
この針が雌しべで、その周囲にならぶ5本のクイックルワイパーが
雄しべだという。
咲くのはきまって朝9時~10時のようだ。
きっと3本の針の1本が合図しているに違いない。
その日の夕方にはしぼんでしまう。咲くのは1回だけ。
これが花を楽しむだけでなくじつは果物で、人工授粉が必要
というからすこしやっかいだ。
実にありつくには、家にいて、今日か明日かと見ながら、
よし咲いた、となったら綿棒もってかけつける。
ワイパーからとった粉を針にたっぷりこすりつける。
受精がうまくいったかどうかは、翌日すぐ色でわかる。
途中で雨がふったら流れてしまい失敗だ。
成功すると針の中心を支える丸い部分がだんだん膨らんでくる。
これを観察するのが楽しい日課となった。
そんな難関をへて昨年は3個実がなった。
しかし好事魔多し、途中で2個落果してしまう。
株がまだ若く、実を太らせる体力不足だったようだ。
完熟した唯一の実を少し冷やしてから、
スプーンですくって1口食べる。
―うーん、なるほど。
こんどは果物の名前の由来がわかった気がした。
この時計草はまたの名を、情熱の果実、
パッションフルーツといった。
記:根本
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