―あぁ、そうそう!これこれ、これが欲しかったんだ。
心の中で歓声をあげた。
さっきまで気づいてなかった、自分が欲しかったものを見つけて
嬉しくなるのは、いつ以来だろう。
アマゾンでは欲しいものがすぐ手にはいる。
購入履歴から、あなたこれ欲しいのでは?と勧められるものも
けっこう的を射ている。だがそこに驚きや感動はない。
こんな状況のなか、最近本でも種や苗でも、全部ネットで注文する
癖がついてしまっていた。
―たしかに探しているものは見つかるが…
生来、人でも物でも場所でも偶然の、想定外の出会いをもとめ、
大事にしたいタチだ。このままではいけない。
春のような陽ざしの先週末、NHKの「ドキュメント72時間」で
放送された都内最大の園芸店にいた。
*オザキフラワーパーク https://ozaki-flowerpark.co.jp/
―すごい、イチゴだけでこんなにある。
つれは少し離れてハーブを物色中だったので、完全に独り言だ。
テンションがあがるのも無理はない。
20種類、数百ポットが並んでいるのは壮観だ。
広い野菜苗コーナーの片隅に、「山菜苗」が10種類ほど
ひっそりたたずんでいるのを見つけた。
人気がないのかここだけ周囲に人はいない。
だが僕の頭の中ではチャイムが、いや、進軍ラッパが大音量で
鳴り響き、鼓動が早まった。
壁際の半日陰に植えっぱなしにできるものを探していたのを
思い出したのだ。この2年で植えてきたショウガや大葉、
パセリなども日陰に強かったが、毎年植えなおしが必要で
連作しづらいのが難だった。
―そうだ、山菜だ。ミョウガの隣にぴったりじゃないか。
春は午前中だけ陽ざしがあたり、夏の直射光は棚仕立ての
サルナシがさえぎってくれるエリアを思い浮かべた。
気が早いが、採れたての山菜がたっぷりのった蕎麦も浮かんだ。
―とりあえず3つ買ってみるか。
呆れ顔のつれをよそに、
ワラビとゼンマイとコゴミの違いもよくわからないまま、
買い物かごにいれた。
・ワラビとゼンマイは面倒な灰汁抜きが必要。(一応想定内)
・どれも本格収穫までは3年かかる。(聞いてない)
・特にワラビは陽当たりを好む。(聞いてない)
・特にコゴミは繁殖力が旺盛で近くの樹木に根がからんだり、
隣地にはみだしがち。(聞いてない)
・コゴミは別名クサソテツ。高さ1mに成長する。(聞いてない)
帰って調べると、若干、「想定外」のことが多い気もするが、
まぁなんとかなるだろう。
極上山菜そばへの道は、いま始まったばかりだ。
記:根本
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