まっすぐへの憧れ(12(完))

ロッチネス島からパースにフェリーで戻り、
降りたところで僕ら4人はわかれた。

食堂車で同じテーブルとなった5回の食事と
途中駅での散歩、そして今日の島での1日。
足かけ4日間の出会いからわかれだった。

テリーとは40歳離れているが、シドニーで
仲良くなったジョードと同じ感覚でつきあえた。
言葉の壁があるから歳の壁が壊されたのかもしれない。
人生初の「シニアの友人」だ。

もう二度と会わないだろうなと帰りのフェリーで
ぼんやり思った。ここはオーストラリアで、
それぞれ母国が違う。

最後に夕暮れの港で記念に1枚撮った。

楽しい時間の反動は、若い自分はまだ経験が浅いので
コントロールが難しい。

油断すると感傷の波がおしよせてきそうだ。
僕は心の中をのぞかれまいと、沈黙を避けるように
いつもより饒舌になった。

ずっと様子が変わらず落ち着いていたテリーの目が、
わかれ際に握手をした際、わずかに潤んでいるように見えた。

パースに戻った翌日、少し南の、ヨットレースで有名な
フリーマントルという小さな街に立ち寄って1泊したあと
帰国の途についた。

この旅は、小学校の頃に芽生えた「まっすぐへの憧れ」が
徐々に大きくなって実現した。

その気持ちは「まっすぐ」だったが、旅はずっと
いきあたりばったりであちこち曲がりながら進んだ。

「世界最長直線の鉄道」以外、宿や交通機関、一切の予定を
決めずに23日をかけぬけた。

幸せな時間だった。   『まっすぐへの憧れ』(完)

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帰国後、しばらくしてテリーから手紙が届いた。

My friend Akira,

First let me say what a pleasure it was for me to meet
such a fine young person.
Your parents have every reason to be proud of you…

で始まる文を読むとテリーの明るい声が聞こえてくる。

自宅で車のボンネットに腰掛ける、カウボーイハット姿で
笑顔のテリーの写真が同封されていた。

記憶と同様、どちらも色あせることなく
今でもアルバムの1ページにおさまっている。

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記:根本

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