まっすぐへの憧れ(4)

AKIRA!踊りにいこうぜ。

夕食のあとリーダー格のカナダ人が誘ってきた。
新たにイタリア人男性とオーストラリア人女性が加わり、
宿のメンバー6名で近くの立ち飲みBARに繰り出す。

店の名は「TABOO」。
その名のとおりちょっと怪しげなネオンが輝く、
入場料のいらないディスコのようなところだ。

2本目のコロナビールを片手に、宿の仲間の輪にはいって
軽く体を動かしていたとき、ひげ面で190cmぐらいの
大男が話しかけてきた。

おい、お前どこから来たんだ?

店内は大音響なので近くでも大声になる。
地元の常連でかなり酔っているようだ。
言葉や態度から、旅人同士の最初の挨拶とは違う空気を感じる。
あまり関わりたくないので、シンプルに日本とだけ答えた。

なんだ。日本人のくせにでかいじゃないか。

こちらもほろ酔いだったこともあって、軽くカチンときた。
たいして話せないのに咄嗟になぜか場にあったフレーズが
口をついて出てしまう。

関係ないだろ。(not your business)

その瞬間、不意に彼のパンチが飛んできた。

中学生の頃、学校で見にいった映画「ガンジー」で若い頃の
ガンジーに似ているからと「マハトマ君」とあだ名がついた。
だからというわけではないが、僕は非暴力主義だ。
といえばかっこいいが、もとより腕に自信はない。

足元がおぼつかなかったのか1発目はさいわい横にそれた。
即座に僕の右にいたアイスランド人のジョードが間に
とめにはいった。2発目を繰り出そうとした彼に笑顔で
何か話しかけている。

こういう時にぱっと笑顔がつくれるのは凄いなぁ。

変なところに感心する間もなく、ほかの仲間も次々にやってきて、
一瞬緊張がはしった空気を笑いでふきとばした。

この小事件のおかげで僕ら宿仲間6人の結束はいっそう強まった。
日付がかわる頃まで楽しい宴は続いた。

翌日、朝からベッド下の住人、スウェーデン人女性オアサ
とでかける。天気がいいので映画は明日にして、今日は
電車で2時間ほどの「ブルーマウンテンズ」に行くことにした。

大きなバックパックを宿においてきて身も心も軽くなった。
オアサと2人、向かい合わせの席で談笑する。
ときおり、流れる車窓に目をむける。サングラスはかけたままだ。

「豪に入っては豪にしたがえ」
そんな文字が頭をよぎりひとりおかしくなった。
初の海外でまだ3日目の、旅の初心者には見られないかもしれない。

珈琲で有名なブルーマウンテンはジャマイカだが、
「ズ」がつくこちらはシドニー郊外の景勝地だ。
残念なことに現地につくと天気が急変して一面霧の中だった。
看板にはここが「エコーポイント」とある。晴れていたらスリーシスターズ
という3つの奇岩が見える絶景ポイントらしいが、何も見えない。

AKIRA、せっかく来たんだから、2人でエコーしない?

彼女と気があう理由がわかった。
ポジティブに楽しむ術を知っている。

霧で真っ白のむこう側に向かって一緒に思いっきり叫んだ。
彼女はもちろん、その様子を撮ってもらうのも忘れなかった。

「記:根本」

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