素人菜園帳(27)

期待の新人。
ニュースでこの言葉を聞くと、いまだに胸の奥がチクっとする。
自分で言うのもなんだが、僕は昔から、新しいことを始めると
周囲に期待させる力があった。

大学でテニスサークルにはいった時、もともと軟式テニスを
やっていたのでフォアハンドは誰よりも強く打てた。

中学3年で囲碁部にはいった時、将棋は初段だったので
上達がはやかった。

中学1年、ブラスバンドでクラリネットを始めた時、
3歳からピアノを弾いていたので音感はあった。

英敏な読者はもうおわかりだろう。
どれも期待させただけで終わった。

大学の卒業式でテニスの先輩に言われた言葉が今も耳に残る。
―根本は卒業までずっと期待の新人だったな。

期待に応えられないまま時が流れたのか、
それとも、時の流れが成長よりもはやかったのか。

いずれにせよ、「期待」と「新人」をセットで何年も背負った。

新橋や浜松町の駅ビルで「閉店セール」を1年以上
続けている店を知っているが、笑えない。

さて、今朝は今年はじめてオクラを収穫した。
日照不足が続くなか、先週ようやく可憐な花が咲いた。

昨年は五角形のものを育てたので、
今年は丸い島オクラと赤オクラだ。
丸さやは角さやよりも固くならないらしい。

赤オクラは食欲をそそる色合いだ。
小さなつぼみや通常の半分の大きさが美味しいという。
スーパーでは売っていない。素人菜園ならではのぜいたくだ。

―小指のさきっぽぐらいだ。味なんかあるのかな。

オクラは花が食べられるぐらいだから、つぼみもいけるかもしれない。
いやおうなしに期待がふくらむ。
オリーブオイルで軽くソテーして塩をふってぱくりとやる。

―ほぉ~。これは、ほんとにオクラだ。

つぼみを食べてうなる。絶品だ。

―オクラになる前なのに、オクラよりオクラだ!

興奮して表現がこわれたが、小さければ小さいほど味が、
オクラの味が凝縮されている。

つぼみは食べる宝石。
こう書いてある記事を見つけた。

―そうか。成長しなくても、その時輝いていればいいんだ。
―よし、赤オクラは小さいうちに採ろう。

ルビーのような赤い「期待の新人」を前に、
ちょっと胸の奥がすっきりした。

記:根本

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