行き当たりばっかし(22)

―あら、浩宮様じゃない。

お袋の声で壁に貼られた何枚かの写真に目をやると
たしかに若かりし浩宮様、いまの天皇陛下が写っていた。

昭和49年と50年、まだ中学生の浩宮様は、2年続けて
この宿、増冨温泉「不老閣」の裏手にある2つの100名山、
瑞牆山と金峰山に登る前に1人で泊まったそうだ。

よくある皇室御用達の豪華な宿ではない。
23部屋のうち部屋にトイレがついているのは数部屋のみ。
あとは合宿所のように、トイレも歯磨きも共同だ。

宿の人に聞いて驚いた。当時泊まった部屋は207号室。
お袋と親父と妹の泊まる部屋だった。弱視の親父のために
トイレ付の部屋を押さえたのが奏功した。

―ここがそうなの。へぇ浩宮様がねぇ。

簡素な部屋の中でお袋がつぶやいた。
こういう偶然は帰宅後のいい土産話になるだろう。
小さい部屋からあぶれた僕は隣の206号室に1人。

そうか、ここはSPが泊まったのか。
これはそれほど土産話にはならないだろう。

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