幼い頃はすぐ近くに仲間がいないと元気に育たない。
といって、ずっとそばに仲間がいると、甘やかされっぱなし
になって大きくはならない。
いったい何の話かわかるだろうか。
ニンゲンではない。
ニンジンだ。
最初芽が出てしばらくは1cm間隔ぐらいで
少し大きくなったら3cm。そのあと5cm。
最後は10cmぐらい。
何度か成長に応じて間引く必要がある。
最初から10cm間隔で種をまいても育たない。
やっかいな性格だ。
駐車スペースの代わりに土のエリアを3坪つくって
野菜を育てはじめて間もなく1年が経つ。
なるべく種から育てる。
無農薬でがんばる。
最初から決めていたわけではないが、せっかく自宅で
つくるのだからと自然にルールができた。
どんなに小規模でも、自分でつくってみるというのは
やはり面白い。思ったようにいかないから面白い。
小さな自然を相手にすると、日々の天気、中長期予報までが
気になる日々となった。まるで株を始めたばかりの人が
急に経済ニュースが気になりだすかのように。
さてやっかいなニンジンである。
最初は春に種を蒔き、夏に収穫した。30本獲れる予定だったが、
10本「ネキリムシ」にやられた。朝起きて様子を見ると、1本、
また1本と順に茎が倒されている。これがヤツの仕業だと気づくまでに
10本かかった。
二度目は秋に種を蒔き、収穫は間もなくだ。
ニンジンはほかの野菜よりも、発芽させるのと初期の生育が難しい。
適度な水分が与えられ続けないと失敗する。種を蒔く前に土を湿らせ
土を叩く。蒔いたあともその上から土を叩く。
叩くと種と湿った土が一体化して乾燥に強くなる。
水のやりすぎも駄目だ。自分でもっと根をのばしたくなるほどの
乾き具合がいいらしい。
ネットで調べた情報をもとに、土づくり、そして種まきから
何度かの間引きをはえて順調に育ったように見えた。
だが葉っぱは元気に茂ったが肝心の実は細かった。
肥料のタイミングと量を間違えたのだろうか。
はじめての収穫のとき、ちょっと力をいれて引き抜いた瞬間を
忘れない。
突然ふわっと、あたりに「朝鮮人参」があらわれた。
美味しそうとはちがう、身体によさそうな、あの香りだ。
土の栄養を細いオレンジの身体に全部とじこめていたのが
ひきぬいた瞬間はじけたようだった。
ニンジンの葉っぱは味噌汁の具にしても揚げてもうまい。
スーパーで葉っぱは買えない。
「あれっ思ったより細いな」
そう思ったのもつかの間、初めての収穫に満足だった。
記:根本
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