素人菜園帳(23)

僕の収穫の楽しみは、2つのパターンがある。

日に日に大きくなるのを見ながら、そろそろか、まだ早いかと待つ。
トマトやきゅうり、ししとうなど、果菜類と呼ばれる。

土の中で育ち大きくなるため、どれぐらいの大きさか
ワクワクしながらとる。人参やラディッシュ、サツマイモ
など、根菜類と呼ばれる。

どちらかといえば後者が好きだ。
しばしば実だけでなくドラマも隠れている。

ビーツを地植えで育てたとき、背丈が1m近くまで巨大化して
それとともに期待もふくらんだ。だがひっこぬいた時の脱力感は
3ヶ月たった今でもすぐに思い出せる。びっくりするほど小さかった。

隣にひっそり育った背丈30cmぐらいのほうが、
はるかに立派な実ができた。

―これは人間社会と同じだな。

何かにつけて大きな口をたたき、先日の人間ドックでも
あごをひかないせこい作戦で身長185cmを死守した、
すぐつれに謙虚になれと諭される、見かけと中身の大きさ
が全然違う奴を知っている。

さて、先日の赤玉葱と同じく、植え付けから9ヶ月も
かかってようやく収穫にこぎつけた。

にんにくだ。

これも地中に隠れた好みのタイプだ。
軽くどきどきしながら、葉を垂直にひきぬいていく。
全部で6本。今度は地上の大きさに応じた玉があらわれた。

―そうか、お前は素直だな。

勝手に親近感を覚えながら、根をそぎとり、土を落として
外側の薄皮を一枚むくと、きれいに真っ白だ。
大地の力、「地力」を結集させた実は美しい。

―やっぱり根菜はいいな。

そう思って、手もとの野菜づくりの本を見たらびっくり。
にんにくは根菜ではなくキャベツやレタスと同じ葉菜に
分類されている。玉ねぎもだ。

―葉っぱを食べないのになぜ?

たまねぎは、茎についた葉鞘(ようしょう)が重なったもの、
にんにくは、葉鞘から出た脇芽が成長したもの。

―へぇ~、たまねぎもにんにくも、要は葉っぱなんだ!

小さな素人菜園で、見かけは大きな奴が奮闘中だが、
まだまだ「知力」の結集が足りないようだ。

記:根本

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