目のつけどころの鍛え方(8)

「立場を変えて見る」を行動で示してくれた人がいた。

僕が勤務していた会社の元顧問で37歳年上の方とは、
囲碁を通じて20年間交流した。
金曜の夜は仕事のあとよく遅くまで対局したものだった。

囲碁に夢中になって小腹が空いたころ、
「根本君も一緒にどうかね」と声がかかった。
決まって近くの中華店からワンタンメンを取った。

なんとなくごちそうになる雰囲気、流れかなと思いきや、
出前が届くと
「根本君、760円」。
(えっ割り勘?払うの?)
初めはそんな思いがつい頭をよぎった。

カフェでお茶しても、タクシーに乗っても必ず割り勘。
ところが、たまに「今夜は飯行こうか」と連れていかれた
高級鉄板焼き店では、2万円ほどの食事をポンとごちそうになった。

のちに僕が囲碁サイト『石音』を立ち上げた時も、この方には
出資や事務所を借りる際にはるかに大きなお金でお世話に
なったのだが、この習慣は一貫していた。

どうして夜食やお茶は割り勘なのか。

本人から直接聞くことはなかったが、おそらく、
「友人」「人生の後輩」「ビジネスパートナー」3つの立場で
僕とつきあってくださったのだ。

そういえば、『石音』に関する打合せの時のお茶代は、常に
私持ちだった。あれは「ビジネスパートナー」だったからだ。
夜食は「友人」、鉄板焼きは「後輩」だった。

「立場を変えて見る」をお金の払い方で教えてくれたこの方は
残念ながら6年前に亡くなった。

「友人」の証しだった割り勘のありがたさが、時がたつほど
身に染みてくる。

「教えよう」「教わろう」の「先生と生徒」だけではない
間柄だからこそ、真の教えとして深く心に残っている。

「記:根本」

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