もっとボケよう(2)

間違いも堂々と言いきると味が出る。

母を見ていてそう思う。

3年前、珍しく11月下旬に都内で雪が降った翌日、
両親とともに伊豆天城に向かっていた。

心配された天気もその日はうってかわって快晴で、
伊豆に近づくにつれて車内から望む富士山が大きくなってきた。
すっかり雪化粧していて白が青空に映える。

「あらぁ綺麗だわね。私は昔から晴れ女なのよ」

後部座席の母がちょっと自慢気に話かけると
助手席のつれもあわせる。
「私達も出かけるときは晴れのことが多いんです」

空気を読むことをしない父がすぐさま反応した。
「私は雨男です」

一瞬会話がとぎれそうになったがすぐ母が回避する。
「そんなの関係ないわよね。四捨五入よね」

車内に「?」が拡散した。
四人しかいないのに捨ててしまってはこまる。
多数決と言いたかったのだろう。

弟の娘が小学校に入学した直後、母はかわいい孫の
様子を僕に電話で知らせてきた。

ちょうどその頃日本中があの半島の国からの飛来物に
神経をとがらせていた。

「昔とはちがうわね。めいちゃんが学校を出ると
お母さんのスマホに連絡がくるらしいの。
いま門を出ましたって」

「へぇ自動でメッセージがね。それだと安心だね」

話をあわせると母はちょっと知ったような口ぶりで続けた。

「きっとランドセルにJアラートがついてるんだわ。
そう、そうに違いないわ」

知らせがくる、に反応してしまうのはわかる。
母は横文字とカタカナに弱い。
いつもならスルーするが、放置すると近所にまいてしまう。
GPSだと思うよ、とやんわり指摘してから電話をきった。

妹の娘たちは毎年夏に米国からやってくる。
高校生になった2人は目新しいものをすぐに聞いてくる。
ひらがなとカタカナは読める。

「おばあちゃん、あれなに?ビックロとあるけど」

新宿を母と妹、姪っ子と歩いているときだった。
去年とちがう大きな建物をめざとく見つけたようだ。

ちょうど彼女達は八王子で買ったユニクロを着ていた。
僕が横から説明しようとした。そのときだった。

「あっあれはね、ビックカメラとクロネコヤマトが
一緒になったのよ」

衝撃をうける僕のとなりで、姪っ子たちは素直に
うなずいていた。

記:根本

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